JAEA  国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構
タンデム加速器,タンデムブースター english page日本語ページ
タンデム加速器を利用した研究

> 物性研究について
> 核物理・核化学研究について
> 加速器開発について


タンデム加速器を利用して、物性物理の分野では、次のような研究を行なっています。


<< 高エネルギー重イオンの原子衝突過程 >>
 高エネルギーイオンは物質中ではたくさんの電子が取れた多価イオンの状態になっています。タンデム加速器では、まさに、このイオンを加速しています。これを原子や分子に衝突させることによって放出される電子、イオン、光子を観測し、放射線と物質との相互作用の基礎過程を調べています。
↑ページの先頭へ

<< フォイル通過によるイオン電荷変化過程の研究 >>
 炭素薄膜通過による重イオンの電荷の変化を広範囲厚さの薄膜に対して詳細に測定し、固体中の重イオンの電荷変化の基礎過程を調べ、固体中のイオン衝突の素過程を解明しています。
↑ページの先頭へ

<< 核融合プラズマ計測・モデリング用データーの測定 >>
 多価イオンと水素原子などとの衝突断面積を測定し、核融合プラズマの計測・モデリング用データーを生産しています。
↑ページの先頭へ

<< 高エネルギー重イオン照射による物質の高密度電子励起効果 >>
 高エネルギーの領域の重イオンは、固体中で高密度の電子励起を引き起こします。この加速器では多種類の重イオンを広範囲のエネルギーで加速することが出来るため、電子励起効果の研究に最適であり、基礎研究から応用研究まで多くの研究がなされています。
- 電子励起効果の基礎過程の研究 -
 イオン照射による物質の電気抵抗変化(その場測定を含む)やスパッタリング収率変化の測定や、生成された円柱状欠陥の電子顕微鏡観察による円柱状欠陥の径や構造の変化などの研究から励起機構の解明が行われています。また、電気特性、磁気特性、光学特性に及ぼす過程についても研究しています。
- 電子励起効果の応用研究 -
 1.高温超伝導体の円柱状欠陥生成による臨界電流密度向上の研究。
 2.物質中のナノ粒子の変形の研究。
 3.円柱状欠陥をエッチングすることによりμオーダーの微細穴を作成し、センサーに応用する研究。
- 軽水炉燃料体の電子励起効果 -
 タンデム加速器は核物質や放射性同位元素をターゲットにすることが可能です。酸化ウランの重イオン照射による放射線損傷の研究を行っています。
↑ページの先頭へ

<< その他の照射利用 >>
 イオンの材料中へのインプラントや、電子励起効果以外の弾性衝突による高エネルギー重イオンを用いた材料の照射効果の研究も行われています。
↑ページの先頭へ

<< 宇宙用素子の照射効果の研究 >>
 イオンの材料中へのインプラントや、電子励起効果以外の弾性衝突による高エネルギー重イオンを用いた材料の照射効果の研究も行われています。
↑ページの先頭へ

<< リチウム電池の電極材中のイオン拡散の研究 >>
 オンライン質量分析器で分離した短寿命核種8Liを利用してリチウムイオン電池の電極材LiCoO2内のLiイオンの高速拡散係数の測定を準備中です。
  • 8Li照射チェンバー
↑ページの先頭へ



高速重イオンビームを用いた原子核物理、核構造及び核化学の分野では、次のような研究を行っています。

<< 重原子核反応による代理反応の研究 >>
 核燃料の高燃焼度化による超ウラン元素の生成や、放射性の核分裂生成物が発生は、原子力分野においてバックエンド上大きな問題となります。 これら不安定な原子核の中性子反応断面積や核分裂中性子数等を測定する代理反応の物理的基礎付けを行うことを研究目的とします。 この方法ではタンデム加速器を用いた核子移行反応によって目的とする中性子反応と同じ原子核を生成し、その崩壊特性を測定することで中性子断面積を導出します。 代理反応は放射性原子核の核反応特性を決定する新規で適用範囲の広い方法であり、重原子核の核反応、核構造の問題としてそれ自身がチャレンジングであると共に、これまで不可能だった種々の研究の定量化・精密化が可能になります。 特に原子力の高度化に資することができる大きな可能性を秘めています。
↑ページの先頭へ

<< 核分光法による原子核構造の研究 >>
 原子核融合反応やクーロン励起、深部非弾性散乱などで生成された原子核は高い励起状態にあり、そこから放出される種々のガンマ線を測定することにより、種々の高励起状態における原子核の情報を得ることが出来ます。 原子力機構では大学との共同研究等を通し、多重ガンマ線検出装置及びアイソマースコープを用いて原子核の高スピン状態に於ける変形共存現象や電磁気的性質の研究、中性子過剰核の核構造の研究を行っています。
↑ページの先頭へ

<< ガンマ線応用研究 >>
 多くの高分解能・低ノイズガンマ線検出器を集合させ微弱な放射線を検出できる多重ガンマ線検出装置(GEMINI)から得られるガンマ・ガンマ・マトリックスの解析により、従来の方法に対し千倍以上のガンマ線選択能を達成できます。 放射性ベータ崩壊核種の測定では、ppb(10億分の1)オーダーの弱い核種を分離できます。 この高い分析能力を生かした元素分析、使用済み核燃料中の長寿命核種の消滅処理研究、原子炉中の核分裂生成物から出る崩壊熱基礎データの取得等の新しい原子力への応用研究を進めています。
↑ページの先頭へ

<< 重元素の化学的、核的性質の研究 >>
 タンデム加速器から得られる軽・重イオンビームと標的核の核反応で生成するアクチノイドを含む重元素の化学的・核的性質の研究を進めています。 特に超アクチノイド元素のように大きな原子では、中心の原子核電荷と軌道電子との間に特異な相互作用が期待され、周期表から推定される化学的性質に従わない振る舞いが予測されています。 この効果の実験的な解明を進めると共に、超アクチノイド元素の合成条件の検討、重い核特有の壊変過程である核分裂機構の研究、安定領域から離れた未知核種の探索ならびにそれらの壊変特性に関する研究を進めています。
↑ページの先頭へ

<< 核医学利用のための放射性同位元素の生成・利用法の開発 >>
 原子力の平和利用の一環として、社会に役立つ、特に医療分野に役立つ新しい放射性同位元素の生成法や利用法に関する研究開発を推進しています。 放射性医薬品としての利用が望まれる211Atの遠隔地移送のために211Rn/211Atジェネレータや、96Mo(p,2n)反応による95mTc生成法の開発を行っています。
↑ページの先頭へ

<< 新しい原子核の合成研究 >>
 タンデムブースターに設置された反跳生成核分離装置を用いた研究では、重元素の合成研究に、変形した原子核を用い超重元素の合成研究を行っています。 原子核の合成断面積は非常に小さく、重い原子核を重イオンで合成するとき融合する確率はさらに減少するが、この現象の回避する方法として理論的に予測されている変形核を用い、実験的に研究すると共に新しい原子核の合成研究を進めています。
↑ページの先頭へ



新たな利用方法を提供するための加速器開発を進めています。

<< イオンビームの加速法の開発 >>
 大型タンデム加速器および高圧ターミナルにイオン源を持つ加速器の特徴をいかした新たなイオンビームの加速法を開発しています。
- クラスター加速 -
 クラスターイオン加速を開発中です。現在、ビームラインの新設とイオン種の開発を行っています。ターミナルイオン源からの高エネルギー(約17MeV)C60加速を予定しています。
- デュアルビーム加速 -
 2種類のイオンを同時に加速し、1つの試料に照射することを可能にしました。例えば、12C+と132Xe11+を同じ試料(位置)に照射し、Xeによる照射効果をCイオンによりリアルタイム分析することが出来ます。
 あるいは、交換時間が数分内で、2種類のイオンを交互に照射することも可能です。
- 大面積均一照射 -
 大面積の試料を均一にイオンビーム照射が可能になるように照射法とビーム量の測定法を開発中です。現在50mmx100mm程度は数パーセントの誤差範囲での照射が可能です。
↑ページの先頭へ

<< 分析法の開発 >>
大型静電型加速器からの高エネルギー重イオンを用いた分析法の開発を行っています。
- 核反応解析法(NRA) -
 共鳴核反応を利用した軽元素の微量分析法です。現在は15Nと水素の反応によるγ線測定による材料中の水素の深さ分布分析が可能となっています。
15N以外に19Fなども考えています。
  • NRAチェンバー
- 重イオンによるラザーフォード後方散乱法(RBS) -
 材料中の元素による入射イオンの後方散乱エネルギー測定により元素分析と深さ分析を行う方法です。重元素の分析向いています。重イオンによるRBS分析では質量分析の分解能が向上し、同位体の分析も可能です。
↑ページの先頭へ


 戻る